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好きに理由はいりません

第2章 アイドルと幼馴染の間


「こんな遅くまで何してたの笑?

悪い子だなぁ」


そう言って私を抱きしめる

大ちゃんは

顔は笑ってるのに

目の奥は全く笑っていなくって

さっきとは別の意味で

背筋が凍りつく…汗


そんな恐ろしい空気にも気づかず


「あの…どちら様ですか…?」


なんてへらへらと笑いながら

問いかけてくる松山くんに


大ちゃんは笑顔のまま


「まことの兄ですが何か?」


なんて

平気で嘘をつく…汗


「あぁ…あの…初めまして…」



なんて慌てて挨拶をしようとする

松山くんを横目に



大ちゃんは私を見つめて


「まこと…

わかってないみたいだからはっきり言うけど…

まことを大事にしてくれない人とは

お付き合いしちゃダメだよ?」



そう言うと

絶望の形相で立ち尽くす松山くんを放置して

私の手を引きマンションの中に入って行く…



「あの…大ちゃん…?」


痛々しい空気に耐えかねて

二人きりのエレベーターの中

そう名前を呼んでみても


大ちゃんは前を見つめたまま

返事さえもしてくれない…




思い返してみれば

私の記憶の中の大ちゃんは

どんな時も笑ってて

怒った顔なんて見たことがなかった…




だからなのかな?


名前を呼んでも

振り向いてもくれない

大ちゃんの背中が

知らない人みたいで

少し怖くて



泣きたくなんてないのに

涙が溢れてきてしまった…
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