• テキストサイズ

あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第5章 嫉妬


紙の擦れる音が聞こえてゆっくりと目を開けると、眩しくてまた閉じた。

眉間に皺を寄せながらまた開いてみる。
今度は、眩しさで目の奥が痛くなるのを我慢しながら開いて、情報を取り入れる。


頭がぼんやりして思考が働かない。
夢なのか現実なのかわからなくなる。


紙の擦れる音を頼りに目線をそちらに向けると、宗四郎さんが何枚もの紙を手に持ち読んでいた。


「…っ……。」


上手く声が出せずに焦る。

その、微かに漏れた呼吸音とも取れる声に彼は気付いて、目が合った。たぶん…。
彼はいつも、開いているのか閉じているのかわからないから…。


「起きたか?」


優しく微笑む彼をボーッと眺めながら何か言おうとしたが、上手く声が出せないし頭がボーッとしていて何を言ったらいいかわからず、喋るのを諦めた。

上手く声を出せないのは頭がぼんやりしているからなのだろうか。


何かを考えることも出来ず、ただ手を伸ばす。
あなたに触れたい…。

なんや?と柔らかく言って伸ばした手を握ってくれる。
違う…もっと…。


もう片方の手も伸ばして、もっと触れてと主張しようとするも、胸の痛みに顔を顰めて手を戻した。

そうだ、私…宗四郎さんの攻撃を…。

/ 520ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp