第5章 嫉妬
紙の擦れる音が聞こえてゆっくりと目を開けると、眩しくてまた閉じた。
眉間に皺を寄せながらまた開いてみる。
今度は、眩しさで目の奥が痛くなるのを我慢しながら開いて、情報を取り入れる。
頭がぼんやりして思考が働かない。
夢なのか現実なのかわからなくなる。
紙の擦れる音を頼りに目線をそちらに向けると、宗四郎さんが何枚もの紙を手に持ち読んでいた。
「…っ……。」
上手く声が出せずに焦る。
その、微かに漏れた呼吸音とも取れる声に彼は気付いて、目が合った。たぶん…。
彼はいつも、開いているのか閉じているのかわからないから…。
「起きたか?」
優しく微笑む彼をボーッと眺めながら何か言おうとしたが、上手く声が出せないし頭がボーッとしていて何を言ったらいいかわからず、喋るのを諦めた。
上手く声を出せないのは頭がぼんやりしているからなのだろうか。
何かを考えることも出来ず、ただ手を伸ばす。
あなたに触れたい…。
なんや?と柔らかく言って伸ばした手を握ってくれる。
違う…もっと…。
もう片方の手も伸ばして、もっと触れてと主張しようとするも、胸の痛みに顔を顰めて手を戻した。
そうだ、私…宗四郎さんの攻撃を…。