第21章 群発災害
どうやらあの怪獣は10号の完成品らしい。
宗四郎が小此木さんへ何か指示すると、幾つものポッドが投下されていく。
彼の今の解放戦力は83%。
これ以上上昇はしない。
僕と10号の限界値なのかと呟いている。
「とにかく、解放戦力の上昇が見込めないなら、戦術の変化で勝機を見出す。」
着地したポッドは開き、彼は装備を外した。
そしてポッドから取り出し腰に差す。
それは…刀だよね?
まさか、一刀型!?
うひぃぃ!!一刀型でもかっこいいとかずるくない!?
おっと…今は戦闘中…悶えている場合ではない。
彼は柄に手を添えると一気に前に踏み出し、怪獣の腕を斬り落とした。
保科流抜討術1式 朧抜き。
私が唯一使える抜討術だ。
ずっと二刀型だったので一刀型は使えないのかと思っていた。
でもそんなはずはなかったのだ。
彼は刀のスペシャリスト、防衛隊最強の近接戦力を誇る…保科宗四郎なのだから。
彼はそのまま上半身をグッと沈み込ませ一気に刀を突き出した。
怪獣の胸に大きな風穴を空ける。
そして頭を切断する。
あの怪獣の核はどこにあるのだ。
彼は何度も怪獣を斬り、そして見つけた。
核は首にある。
怪獣はすぐに刀のような腕を交差し首を守る。
彼の刀はすでに折れたらしくすぐに新しいものを手にし、刀伐術1式の空討ちを放ち抜討術を繰り出す。
私は1式しか使えない為、抜討術は詳しくない。
名前しか教えられていないのだ。
私はなんて弱いんだ。
今、私が攻撃しても邪魔になるだけ…彼の隣で戦うことは叶わない。
彼の努力はどれだけのものだったのだろう。
私なんかじゃ到底想像もつかないのだろうな…。
小此木さんが彼の駆動限界が近付いていることを知らせる。