第3章 辛苦
先輩が退室するのを確認すると、隊長は副隊長をその目に捉えた。
それに気付いた副隊長は目を逸らそうとしたが、しっかりとそれに応える。
まずは、今回のことを知っていたのか何故報告しなかったのか、私に強要したことは事実なのか聞かれていた。
副隊長はそれに対し、全てきちんと答えた。
それを聞いた隊長が少し考える素振りを見せてから、また副隊長を見据える。
「保科副隊長、お前にはとある罰を与えよう。私個人からの罰だ、隊の規則には則っていない。断ってくれても構わない。」
「亜白隊長!?」
先程約束したのに何を言うつもりなのだろうと隊長を見ると、大丈夫だと言うように微笑まれた。
副隊長は隊長の次の言葉を待つ。
「三浦隊員に副隊長の全てを教え込み強くすること、勤務時間外は三浦隊員の言う事を全て聞くこと。三浦隊員は常に保科と行動を共にし、奪え。」
それはどういう意図で…。
強くなることは嬉しいのだが、言う事を全て聞くとは…?
それに奪えって、なにを…。
「お前が三浦にしたことを考えるととても優しいと思うのだが。」
隊長は副隊長を私と同じ状況にしようと考えているのだろうか。
「了!」
副隊長は何も言わず了承した。
本当にいいのだろうか…。
亜白隊長は副隊長に、お前を信頼していると最後に言うと、私たち2人に戻ってもいいと言った。