第10章 第1部隊
その時、扉が開いて声をかけられたので、キコルちゃんと共にすぐに立ち上がって姿勢を正した。
くぐるように頭を下げて入ってきたのは、第1部隊副隊長 長谷川エイジだ。
すぐに顔を上げて長谷川副隊長の顔を見る。
私とそこまで身長差のない宗四郎さんを思い出し、第3部隊とは違うなと当たり前のことを考える。
隊長室に案内しようと言われたので、長谷川副隊長のあとをついていく。
隊長室の前につくと、彼はノックをしながら声をかける。
「紹介しよう。日本防衛隊 第1部隊隊長 鳴海げ……。」
長谷川副隊長はそこで言葉を止めてしまう。
何故なら、ぐちゃぐちゃの部屋の中で布団に潜りながらゲームをしている人物の姿があったからだ。
「あと少しでプラチナランク、あと少しでプラチナランク。」
ボソボソとそう呟く声には聞き覚えがある。
扉が閉められ、長谷川副隊長はちょっと待っていろと言ってすぐに部屋の中に入っていった。
プラチナラァァァンク!!と叫んだ隊長と思われる人物を躊躇いもなく蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた人物はテレビの前に頭から突っ込んでいった。
大丈夫なのだろうか…。
そう思ったがその人物はすぐにゲーム機の心配をしだした。
部屋を片付けておけと言ったのを聞いていたのに、実行するのはボクの自由だと言ったので、長谷川副隊長はまた蹴り飛ばした。
足が折れてしまったガンドムのプラモデルの心配をしている。
あぁ、この感じ、弦お兄ちゃんだ…。
だが、あれから10年も経ち隊長になった彼がまだあんな感じなのかと頭を抱えた。