第2章 防衛隊選別試験
隊員任命式が始まり、首席のキコルちゃんがステージの上に行く。
本当に防衛隊員になったんだ…。
日比野先輩がゆっくりと式場に入ってきた。
どうやら先輩は候補生として採用されたようだ。
よかった…また先輩と一緒にいれる。
4年も一緒に仕事をしていると、もう一緒にできないとなると少し寂しさはあった。
なので、ここに先輩がいることで安心する。
キコルちゃんが戻り保科副隊長がステージに登り少し後ろに立つと、亜白隊長が話し始める。
怪獣の発生件数やフォルティチュードが平年を大きく上回っていたり、死んだ怪獣が蘇る怪事件などのことを話している。
最初の任務で死ぬ者もいるだろうと、命の保証は微塵もないと、防衛隊の厳しさを語る。
そして、隊長はこう続けた。
「君たちのその命を貸してほしい。私はその1番先頭で君たちの盾となり、矛となることを誓おう!」
と……。
正直泣きそうになってしまった。
そして同時に思わせてくれた。配属されたのが、亜白ミナ隊長が率いる、この第3部隊でよかったと。
みんなが隊長の言葉に耳を傾け静かになっているとこに、いきなり日比野先輩が叫んだ。
「すぐ隣に行くからな!ミナ!!」
え、ちょ…ミナって隊長のことだよね?幼なじみというのは聞いていたけど、ここでそれはまずいでしょ。
この場にいる全員が引いていた。
亜白隊長から、未許可の私語、上官呼び捨てで合わせて腕立て100回を言い渡されていた。
ま、まあ、そうなるよねぇ…。
みんなが日比野先輩に引いてる中、1人だけ大笑いしている人がいた。
亜白隊長の後ろに立っている人物だ。
ここで1人だけ大笑いとか…さすが副隊長。
彼があははっと笑う度に何故か反応してしまう身体。
ダメだこりゃ…副隊長への耐性をつけなきゃ、そのうちみんなに気付かれるだろうし、失礼すぎる…。
日比野先輩が腕立てを始めると、みんなが笑顔になり応援を始める。
先輩の腕立て100回が終わると拍手が上がると同時に、キコルちゃんが話しがあるからと呼んだ。
ここでは話せないらしく、何故か私も市川くんに呼ばれた。
誰にも気付かれないように副隊長を盗み見てから後を追いかける。
隊員任命式は、日比野先輩のおかげで笑いに包まれながら幕を閉じた。