第3章 辛苦
連れてこられた先はファミレスだった。
誰もいないファミレスなんて初めて入った…。
あの演習場の本獣はキコルちゃんではなく、日比野先輩が怪獣化して倒したらしい。
遅くなってごめんな、あんな怪我させちまって…と謝られた。
先輩のその謝罪に焦り、自分が弱くて情けなく思う。
そして先輩が怪獣になった経緯をキコルちゃんに話した。
それをボーッと聞きながら、先輩が怪獣8号だとバレるのも時間の問題だなと頭を抱える。
出来るだけ力になってあげたいが、誰かの命がかかると先輩は躊躇いもせず変身してしまうだろう。
先輩が変身しなくてもいいように強くならねば…。
きっと、市川くんも同じことを思っているだろう。
先輩の話が終わった頃、キコルちゃんが爆弾を投下してきた。
「ところで美影はなんで副隊長好きなの?」
「ひぇっ…!?」
2人にはなんにも話してないんだからぁあああ…。
いきなり言われたので否定も言い訳もなにも出来なかった。
先輩と市川くんが驚いた顔で私を見てくる。
恥ずかしくなって、俯いて縮こまった。
「………ご、5年前に助けてもらってそれで……。」
顔に熱が集まっていくのがわかる。
今日は何回赤面したらいいんだ…。
その時、副隊長に憧れて防衛隊目指したのも好きになってまったことも話した。
今まで恋心をしまってトレーニングに明け暮れていたから、先輩たちにも話していなかった。いや、別に話す必要はないと思ってたし。
「それで?試験で再会したんでしょ?副隊長は覚えてなさそうだし、なんで揶揄われるような関係なったのよ。」
「それは……。」
治療中に色々あったのだと濁して話した。
さすがにあんなこと言えない。副隊長の許可も必要だろう。
意識が混濁していて甘えてしまったとだけ言った。
キコルちゃんがニヤニヤしている…。
そして、男2人は何故顔を赤くしているんだ…。
恥ずかしいのは私だというのに……。
「もうっ!!3人とも!絶対誰にも言わないでくださいよ!?」
わかったという返事が3つ返ってきたのでその話は終わり、少しいろんな会話してからファミレスを後にした。