第3章 お願い先生っ! 五条×生徒
五条先生が会議室から出ていったあと、私は心臓を押さえながらただただぼーっと外を眺めていた。
何もできなかった。
「ーーー…先生?」
さっき言ってた言葉を頭の中でぐるぐると考えながら、遠くでパンダちゃんが憂太くんを投げて笑っているの見ていた。
「……ここからたまに見てくれてた、のかな。」
自惚れだろうか。
『卒業してから』
そう言って私の唇に触れた細く綺麗な五条先生の指先の感触が忘れられそうにない。
「ずるいよ、先生っ。」
私はへなへなと床に座り込み、しばらく動けなかった。
ずっと大人で、先生は私なんて相手にしてないと思ってた。
五条家の当主として、形だけの許婚で、私が輿入れしたら義務として子をなすだけなんだろうと。
それでもいいと思ってた。
それで五条先生にそばにいられるなら。
それくらい大好きな人ーー。
「何考えてるのか…教えてよ、先生。」
先生の口元だけの笑顔。
ふふっと笑う声。
私の名前を呼ぶ優しい声。
そばに来たときの温もりや吐息。
好き過ぎてどうにかなりそう。