第3章 お願い先生っ! 五条×生徒
私は今回の任務の報告書を書き上げて五条先生を探した。
いつもの部屋にいると思ったけれど、鍵がかかっていたし、まだ高専にいると思ってたのに、もう次の仕事行っちゃったのだろうか。
報告書を挟んだファイル片手に私は五条先生がいそうなところを探していた。
「。」
「あ、先生っ!」
先生は小さな会議室にいたようで、そこからひょこっと私を手招きした。
「会議してたんですね。」
「いや?伊地知から逃げてた。」
サボっていたらしい。
私は苦笑しながら部屋に入った。
「これ、今日の報告書です。先生のチェックをお願いしたくて…」
「もう書いたの?早いねー。」
そう言いながら先生は受け取ると、ファイルから出すこともなく会議室の机にそのまま置いた。
「後で見とくよ。」
そう言って笑う五条先生は、夕日に照らされ白い髪がキラキラ輝いていた。
「見過ぎ。」
「あっ!す、すみません…反射して綺麗で…。髪の毛オレンジ色になってる…」
どうやら私は時間を忘れて見惚れていたらしい。
「そうやって昔から見てたよね。」
くくっと笑う五条先生に、私は恥ずかしくてうつむいた。
「僕もここからよく見えるんだよ。あっち。」
五条先生が指差した方向には、憂太くんたち男の子三人が組み手をしていた。
本気でやると言うより、遊んでるようだった。
ここでも声が聞こえてきそうなくらい、楽しそうに。
「本当だ。憂太くんあんな任務の後だったのにすごいなー。ふふ、楽しそう。」
「……。」
私が窓の方を見て言うと、五条先生は私の後ろに立った。
「よく見える。たちが特訓してるのもね。」
目隠ししてる五条先生の目はわからなかったけれど、口元は笑っていた。
だけど、なんだか影があるような、元気がないような…そんな感じがして少し怖かった。