第3章 お願い先生っ! 五条×生徒
呪力量がある憂太くんはまだ大丈夫そうだ。
私は真希ちゃんの後ろについた。
「体力強化するよ?真希ちゃん。」
「あぁ、頼む。数が多いな…。」
汗を拭い、真希ちゃんはふぅっと息を吐いた。
私はその真希ちゃんの背中に手を当て、術式をかけた。
「終わった後、少し反動あるから…無茶はダメだよ。」
「助かった。」
筋力はかなりある真希ちゃん。
体力だけでなく、そんな彼女の筋力も少しだけ強化しておいた。
私は再び少し離れ、雑魚の呪霊を祓っていった。
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もう30分は経った気がする。
私は額から流れる汗を袖で拭いた。
私でこんなに疲れてるんだ、前線の二人はもっと疲れているだろう。
私は真希ちゃんを見つめた。
「…真希ちゃんっ!」
武器を振るう真希ちゃんは、何も変わらないように見えるが、左手が折れている。
私は真希ちゃんに駆け寄った。
「大丈夫だ。後少しーー…」
「ダメ。今強化されてるからそう感じてるだけ。この先腕がうごかなくなるよ。下がって。」
私はキツく彼女に言った。
「…くっ。」
悔しそう睨みつける真希ちゃんの、目の前にはタコみたいな大きな呪霊。
私は真希ちゃんの前に立ち、鎌を構えた。
「、下がれ。には無理だ。」
「真希ちゃんが下がって。時間を稼ぐから。左手守ってよ!」
私は鎌を振りかぶった。
「大丈夫。僕に任せて。」
「憂太っ!」
私たちに気付いた憂太くんが、駆けつけてくれた。
「一回下がろう。」
そう言って、憂太くんは私と真希ちゃんを片手ずつ抱き上げ飛び上がった。
「ゆ、憂太くんっ!」
いつのまにこんなに力をつけたんだろうか。
私よりも後に転入してきたのに、人を二人抱えて走れるくらい…。
「先生っ!」
そう言って、憂太くんは私をぽいっと投げ捨てた。
「さんをお願いします!」
「ひゃっーー!」
ふわっとした浮遊感のあとに、がしっと抱えられる感覚に、私は閉じていた目を開けた。
「ナイスキャッチ。」
「せ、せんせっ!」