第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
泣きぼくろが印象的な先輩は、ふんわりと微笑んだ。
「硝子先輩って呼んでもいいですか?」
「じゃあ私はかな。」
「嬉しいです!この学校来て初めての女子生徒に会えました!」
それが本当に嬉しくてにこにこしていると、硝子先輩が私に飴玉をくれた。
「あめ…?」
「あげる。可愛いから。」
「ありがとうございます…。」
急に手のひらにころっと置かれ、私は口に入れた。
「美味しい。」
「ふふ。あのクズが言ってた感じじゃないね。」
「?」
「うちのクラスの2人。」
硝子先輩は二年って言ってた。
と言うことはあの夏油先輩と白髪男のことだ。
「とんでもない女だって言ってたけど、全然じゃん。ま、信じてなかったけど。」
「あー…。」
私は初日のことを思い出した。
黒板消しを頭に落とされたから、私も後頭部にお見舞いしてから、やることはやってる…。
「今年は京都校との交流会はないみたいだし、そんなに合同で訓練とかないかもだけど、よろしくね。」
「交流会…?そんなのあったんですか?」
更衣室に2人で座って飴玉を口の中で転がしながら私は聞いた。
「そ。技術向上とかそう言ったのをかねてね。でもあのクズ2人が去年暴れまくったせいで、今年は京都が辞退しちゃったんだって。ホントクズだよね。」
…一体何をしたんだろうか。辞退するなんてよっぽど悪いことをしたに違いない。
私がドン引きした顔を見て、硝子先輩は笑って携帯を取り出した。
「メアド交換しよ。」
「わ、嬉しい!しましょ!」
私もロッカーから携帯を取り出した。
「この後夜、ご飯でしょ?一緒に食べない?」
「はい、是非!あ、七海くんとかに伝えてきます。いつも一緒だったから。」
「おっけー。」
私は荷物をまとめると、いそいそと外に出た。
お友達も出来たし、やっと私も楽しい学校生活が始まりそうだ。