第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
硝子先輩と仲良くなって、数日がたった。
たまにご飯一緒に食べたりして、過ごしていた。
そんなある日の朝ーー…
「今日は二年生の人と、組み手の稽古をします。」
「……。」
私はわざとらしく顔をくしゃっとした。
「…。」
「だって、ななみんっ!」
入学してそろそろ1ヶ月。食堂やら移動で避けに避けてたあの男2人と、ついに授業をともにしなければならない。
「にしても、顔に出し過ぎだろ。」
「あっはは、は面白いね。」
ななみん、ゆうの2人が笑っているが、笑い事じゃない。
絶対あの白髪、変なことするに決まってる。
「はーい、私語はあとで。グラウンド行くよー。」
春風先生が手をぱんぱんと叩いて、私たちを急かした。
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第一印象は確かに悪かった。
それは認めるし、私も酷いことをした。
できることなら普通に接したいと思う!
普通にーー…!
「おい。やんぞ。」
「…硝子先輩とやりたいです。」
「あ、私パース。」
目の前の白髪男は私を見下ろしている。
硝子先輩は手を振り本当に参加する様子もなく、ベンチに腰掛けている。
「硝子は戦闘むかねーから、いんだよ。ほら、来いよ。俺が直々に稽古してやる。ありがたく思え。」
普通に…したかった。
「はい。よろしくお願いします。」
私はお辞儀をすると、白髪男に右手を繰り出した。
軽くその手ははらわれ、向こうの右手が突き出されたので、私はまず後ろに下がった。
この人手足長いから、間合い気をつけないと…。
「おー、すごーい。」
横で手をぱちぱち鳴らす硝子先輩に私は微笑みかけた。
「余裕こいてんじゃねーよ!」
足が顔の横をすれすれに出され、私はくるりと回ってその足を落とそうとしたが、それも軽く避けられた。