第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
「夏油傑だ。」
「私はです。」
数少ない生徒だ、それに術師もそんなにいない。
協力し合う日も必ずあるはずだ。
お互い知っておいた方がいい。と、自己紹介をしあった。
「七海建人です。」
「僕は灰原雄です。特級の方と話すのは初めてで!すごいなー!」
「よろしくお願いします。」
私は夏油さんに手を差し出した。
「よろしくね。さん。それに,二人とも。」
私の手を握りにっこり笑う夏油さんに、「なーにがよろしくだ。」と、白髪男は遮った。
「あ、じゃあ、私たち食堂いくんで、失礼します。」
「ほんっとムカつくな、オマエ。」
「さ、行こ。二人とも。」
白髪男が何か言ってるが、きっと時間の無駄だ。
あーいうのは無視に限る。
私は二人の腕をとって,食堂に向かった。
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最初の一週間は春風先生による、基本的な話が中心だった。
術師とはから始まり、術師規定についてと、呪霊のこと、帳の重要性、などなど。
午後はトレーニングが中心。
グラウンドに出て走り込み、組み手、筋トレ。
体力に自信はあるが、こうも毎日毎日男の子相手には結構大変であった。
「ひー、生傷絶えないなー。」
女子更衣室で着替えながら私は膝にできた傷にペタリと絆創膏を貼った。
「血結構出てるじゃない。」
「わっ。」
人がいるとは思わず私は振り返った。
「驚かせてごめんねー。治してあげよっか?」
「え?もしかして、噂の反転術式使える先輩ですか?」
「まーねー。はい、足出して。」
絆創膏をぺりっと剥がされ(痛い)、先輩が手を出すとあっという間に傷がなくなっていた。
「す、すごい…。ありがとうございます!」
私は先輩の手を握り、尊敬の眼差しを向けた。
生で反転術式を見たのは初めてだった。
「私は…」
「ちゃんでしょ?あのクズどもが話してたわ。」
「クズ…?」
「私は家入硝子。二年よ。よろしくね。」