第3章 お願い先生っ! 五条×生徒
伊地知さんの運転で、助手席に先生、その後ろに真希ちゃん真ん中に憂太くんで、私は伊地知さんの後ろに座っていた。
「三人だとせめぇな。」
「すみません。」
五人で移動は珍しく、セダンの後ろ高校生三人は確かに狭かったけど、真希ちゃんの言葉に伊地知さんのせいでないのに謝っちゃう伊地知さんに私たちは笑うしか無かった。
「ここから2時間ほどかかります。」
ーー…長いっ。
「山奥の方になりますので、車しか行けなくて。」
「いいよ、伊地知。出して。」
「はいっ。」
先生にいわれ、伊地知さんは慌てて車を発進させた。
「ねぇねぇ、このグミ新発売なの。食べてみてー。」
「またはミーハーだな。」
「えー新発売とか気になるでしょ?」
真希ちゃんに呆れられたけれど、
ガサガサとカバンを漁ってみんなにお菓子を差し出した。
「うん、美味しー!さんこれ美味しいよ。」
「でしょ!?外パリッとしてるのに中トロトロなの。」
真希ちゃんは甘い味に舌を出したが、憂太くんはお好みだったみたいで、喜んでくれた。
「先生と伊地知さんもいかがですか?」
「私は大丈夫です。」
運転してる伊地知さんは要らないといったが、先生は助手席で口を開けて待っていた。
狭い上に1番遠い私は、必死に手を伸ばし五条先生の口にそっとグミを差し入れた。
唇に指先が触れそうになって私は手が震えた。
「ん、いいね。また買ってきてよ。」
「は、はい。」
あーんをしたというのに、まったく気にしていないのは先生が大人だからかな…。
私は赤くなるのを必死に我慢して、グミを二つ口に頬張った。
「山道はいるので、舗装されてません。揺れますので気をつけてください。」
「きゃっ…」
思ってた以上にガタガタする揺れに私は車のドアにしがみついた。
「この奥の方に呪詛師の団体施設があります。」
「あ、ごめん。さん。」
「ううん。平気。」
私はドアにしがみつき、隣の憂太くんは私の頭の上の手すりを掴んでいたため、必然的に憂太くんがより近く感じた。
ガタガタ小刻みに揺れる車体。
ふとバックミラーを見たら、目隠しをしてると言うのに五条先生と目があった気がした。