第2章 上司がウザいです 五条×補助監督 (R18)
去った五条を確認して、はズルズルと資料室の床に座り込んだ。
「…なんて……人。」
呼吸を整え、服を直し、落ちた資料や報告書を拾い上げる。
乱れた髪の毛を押さえ、外されたネクタイを結び直した。
「ふぅ。」
は、部屋の外に出られるか、もう一度身だしなみを確認して、補助監督の執務室へと向かった。
「仕事はしなきゃ。」
ぱちっと頬をたたき、自分の席に座り、もう一度長崎の教会の資料を頭に叩き込んだ。
「泊まりの任務らしいっスね。」
「新田さん、お疲れさまです。」
午前の仕事を終わらせてきた新田が、の横に席に座りお弁当を食べ始めた。
「五条さんとなら安心っスね!」
「…安心?」
(あー、犯したい)
先程の五条のを見下ろす目を思い出し、は眉を寄せた。
絶対安心でも安全でもない。
「五条さんなら死ぬような危ないことないじゃないっスか。」
「五条さん…って…彼女いるんですかね。」
「は?」
「あ、いや、任務とはいえ私なんかと二人だと彼女さんがもしいたら申し訳ないなって思いまして。」
「そういえば五条さんのそういう話聞かないっスね。あ、でも!」
「…?」
「昨日の飲んでるとき、好きな人はいるって言ってたっスよ!」
「そうなんですね。」
「伊地知さんと驚いたからさー。ツンデレでいつも冷たいから面白いんだって言ってて…誰なんスかね。歌姫さんとか?あ、でも伊地知さんの彼女の話のほうが面白かったっスよ!さんそのときもう記憶ないんスか?」
「……ないですね。残念。」
伊地知さんの彼女さんがさーと、話を続ける新田を横には、手で自分の顔を押さえた。
(私は…別にツンデレじゃないーー…)
は熱くなる顔を見られないよう、資料に目を向けた。