第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
私は肩についた白い粉をため息を吐きながらはらった。
ヤンキーの親ではあるけれど、私のために働いて買ってくれた制服だ。
四年間大切に着ようと思ったのに。
「後ろもついてるよ。」
「ありがとう。」
七海くんに言われ、私はついに制服を脱いで、窓の外に出すとパタパタとはらった。
髪の毛も結んである隙間に入ってしまってるから、ほどいた。
「あー、もうホントムカつく。」
「はは。初日から災難だね。」
「灰原くんは平気だったの?」
「僕は一番乗りだったからね!そのあと彼らは来たんだよ!」
ーー…とめてよ。
と思ったけど、彼らの意地の悪い笑顔の前では難しかったのだろう。
「それにしても上級生にすごいね、さん!」
「…え。」
灰原くんに言葉に髪の毛をはらう手がとまった。
「上級生…?」
「そうだよ。しかも一級と特級の有名な2人だよ。知らなかったの?」
とっ き ゅ う
いっ き ゅ う
「や、やらかしたっ!!」
「知らなかったのか。」
呆れた顔で七海くんに言われ、私は首を振った。
確かに一年は男子生徒二人だと認識してたはずなのに、一年の教室にいるからつい一年だと思い込んでしまった。
「し、知らなかった!私の家は一般家庭だもの!」
どうしようっとオロオロしてると、七海くんはふっと笑った。
「さっきの威勢とは打って変わってだな。まぁ向こうも悪いことはしてるんだから、お金さえ返してお互い謝れば大丈夫だよ。」
「う、うん。放課後謝りに行く。」
あの白髪男とまた顔を合わせるのは気が引けるけど…。