第2章 上司がウザいです 補助監督×五条 (R18)
伊地知は報告書をまとめると立ち上がった。
「それでは私はこれを出してきますね。お疲れ様でした。」
「…。」
は自分もついて部屋から出て行きたかったが、自分の報告書がまだである。
真面目なはそれを放って行くことが出来なかった。
「五条さんもお疲れ様でした。」
「出て行かそうとしないでよ。」
自分の席に座られているは、席の上の報告書とペンを持って少し離れた違う補助監督の席を借りて座った。
「伊地知には笑うんだ。」
「…そうですか?」
「うん、コーヒー出しながら笑ってたよ。可愛いから僕にも笑ってよ。」
「必要があれば勝手に笑います。」
そんな意識して笑顔なんて作ってないと、は思いながら、視線を向けることなく報告書を仕上げていった。
「ねぇ、今日の夜飲み行かない?」
「あと一件任務入ってませんでした?五条さん。」
「お、流石補助監。覚えてる。そんなのすぐ終わるしさ。」
「そういったお食事はお断りしています。」
「なんで?」
「仕事とプライベートは分けてます。」
「だから、仕事が終わった後に行くんじゃん。」
「…お仕事関係の人たちとはいかないってことです。」
は手を止めることなく断り続けた。
五条は立ち上がり、の背後に回った。
「ご飯だけ。ーーね?」
五条は声を低くし、机に手をつきの耳元で囁いた。
「行かないです。お疲れ様でした。」
は手で五条の顎を押そうとしたが、彼に触れる事は出来なかった。しかし、押し返す事はできた。
「んーつれないな。」
「…術式、ですか?」
は手を止め、すぐ後ろの五条に振り返った。
机に手を置いている五条は意外と近くにいたが、は特に驚きはしなかった。
「そうだよ。あ、触れたい?術式解こうか?」
「いえ。」
は首を振りまたすぐ仕事に戻った。