第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
「え、この短時間でこれだけ作ったの?」
「いや、揚げただけですよ。あとは作り置きなんで。」
テーブルの上の料理みて、五条先輩が言った。
「ギャップありすぎだろ。」
「…どう言う意味ですか。」
褒め言葉じゃなくない?
「褒めてる褒めてる。」
いただきまーすと、ものすごいスピードで食べていく男二人に、私はもう少し唐揚げ揚げようかと迷った。
「かっら!!これから!」
「悟は柚子胡椒苦手だったか?」
「唐揚げに柚子胡椒ー?」
「さん九州出身だっけ?」
夏油先輩に言われ私は頷いた。
「少ししか入れてないですけど、五条先輩には無理でした?」
「は?食えるし。」
そこムキにならなくてもいいのに、思いながらおかわりの唐揚げを油に入れていった。
「うっま。今度の休みもなんか作ってよ。」
「悟、彼氏じゃないんだから。」
「あぁ?じゃあ、どっちか彼氏になればいいだろ。」
私は菜箸で唐揚げをひっくり返しながら、ピクリと手を一瞬止めてしまった。
なんてことを言ってるんだ。
私は聞こえなかったふりをした。
「倫理観どっかいったのかお前は。」
「別にいいだろ。彼氏彼女なんてそんなもんで。」
「はぁ。それじゃあ悟は今から硝子と付き合えるのか?」
「…それはなんか違うな。」
「ほら。」
夏油先輩がまともな人でよかった。
「でも、ならいけそうな気がしねぇ?」
「…悟。」
こんっとおでこを夏油先輩に小突かれる五条先輩は本当に不思議な人だ。
たぶん人とあまり関わってこなかったのかもしれない。
「変なこと言ってないで、早く食べて任務行ってきてください。」
おかわりの唐揚げをテーブルに置き、私は少し怒って言った。