第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
「おい、悟。厚かましいだろ流石に。」
「ちゃんと材料費払うって。それに今日傑に稽古つけてもらったんだろ?。」
「…ん、まぁ。」
午後から夕方まで、ずっと夏油先輩には色々教えてもらっていた。
それに夜から任務に行くというじゃないか。
「育ち盛りの男の子二人分の唐揚げは、時間かかりますよ…。」
私の肩に手を回していた五条先輩の手を、ぺっと払うと私は冷蔵庫を開け、ジップロックに入った味を染み込ませた鶏肉を4袋取り出した。一つは今日食べて、残りの3袋は冷凍する予定だったものだ。
「…足りるかな。あ、ご飯も私の分しか炊いてないから、足りないものは冷凍のものになるけど、いいですか?」
「ご飯冷凍とかなにそれ。」
「あー、五条先輩はそう言ったことしないですよね。」
実家が御三家だ。
冷凍ご飯なんで初体験だろう。
「いいの?さん。」
「むしろいいんですか?夏油先輩は外で食べたいんじゃないんですか?」
キッチンに立って、片栗粉とかを準備しながら横に来た夏油先輩を見上げた。
五条先輩はすでに私の部屋のカーペットの上に座ってくつろいでいる。
「いや、さんの手料理なら気になるかな。いいの?」
「じゃあ頑張る。」
菜箸片手に気合いを入れると、夏油先輩は手伝うよと手を洗い始めた。
「いいですよ。私は夜任務もなく暇ですし、今のうちに夏油先輩は休んでてください。」
それにキッチンは狭い。
大きな夏油先輩は思った以上に距離が近くて緊張する。
寮はワンルームで、簡単なキッチンしかない。
お風呂や洗面所は共有だ。
そんな小さな部屋に3人もいると、頭の私の部屋なのに圧迫感が半端なかった。
しかもめちゃくちゃ二人とも背が高い。
温まった油に、唐揚げを入れていき、その間にキャベツの千切りを作っていった。
「手慣れてるね。」
真後ろで声がして、私は飛び上がった。
「びっくりした。」
「ごめんごめん。なんか、座って待ってるの悪くて。」