第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
私は頭に血が上った。
そんなことのために…?
机に座り、椅子に足をあげている白髪男の前に私は立って、顎を上げ睨みつけた。
「白髪一人だと寂しかったんか?あ?」
「…なに?」
「一人が寂しいならてめぇが黒くしろや。」
お互い睨み合う。
「今年の一年は、確かに豊作かもね。」
横にいた黒髪の男が柔らかくそう言ったが、私はもう頭に血が上ってるからイライラは治らない。
白髪男は立ち上がり、私に一歩近づいた。
ーー…思ってたよりデカい。
「言うじゃねぇか。」
「クリーニング代置いてけよ。」
「はっ、金かよ。」
「当たり前だろ。親の金だぞ。ただじゃねぇんだ。そんなこともわかんねぇのか?」
「わからねーな。おい、傑、クリーニングって結構すんの?」
横を向いて、傑と呼ばれた黒髪の男に話しかけた。
「まぁ、中学生のお小遣いくらいじゃない?」
「ちっ、そんなんわかんねーよ。5万くらい?」
ピキ。
そんなにするはずがないが、こいつは一月5万もお小遣いで貰ってはいるようだ。
クソボンボンかよ。
「ほんっと舐めてんなてめぇ。」
「は?なんでだよ。払ってやるって。」
「5千よこせ。」
私は手のひらを出した。
「田舎のヤンキーかよ。」
はっと笑う白髪は財布から5千だすと私の手のひらにバシッと渡してきたので、私はそのまま、後ろの金髪の男子生徒に渡した。
彼も被害者だ。
「ちっ、もう5千とるのか?」
「いや?私はいらない。」
財布に手を入れた白髪頭に私は手を伸ばすと、後ろから黒板消しを引き寄せ頭に当ててやった。
「やり返すからっ!」
「いっ!」
後頭部に角がちょうど当たったのか、がつっと音と白い粉が舞い上がった。
「あーーーはっはっは!!最高!!それで術師出来んのかよ!」
白髪男と同じように指をさして笑ってやった。