第5章 ウザい上司 五条×補助監督(R18)
あと10分もないくらいだ。
あと少しで日付が変わって五条の誕生日が終わってしまう。
はコンビニで買ったケーキを袋に持ったまま五条の部屋の前に立った。
(寝ていたらどうしよう。)
ここでノックをしてしまうことをためらったは扉の前で立ち尽くしてしまった。
『1ヶ月、ここには来ないでくださいね。』
『いい加減にしてください。』
昼間に五条に言った言葉をぐるぐると繰り返し再生していた。
今日はこれで我慢って言っていた五条さんの話を聞けばよかったと、は後悔していた。
しかし、仕事中は仕事中だ。と、もやもやと頭で考えては、扉に手を伸ばしたり引っ込めたりしていた。
(私だって、五条さんに甘えたり、もっとひっついたり、キス…だってしたいと思ってる…)
『僕にだけ甘えてもらいたい』
虎杖から聞いたことを思い出し、はぐっと拳に入れた。
コンコン
小さくノックをして、はしばらく返事を待った。
返事はない。
(寝ちゃった…かな)
はそっとドアノブに手をかけた。
「開いてるーー…」
あの五条悟の部屋に忍び込むやつなんかいないと、鍵すらかけてないのだろう。
不用心だと、は思いながらドアを少し開け、顔を覗かせた。
「…五条さーん?」
部屋は真っ暗だ。
寝ていると言っても、彼くらいになるとの来訪で起きそうなものだ。
「まだ帰ってきてないのかな。」
部屋も暖房がついてなくひんやりと冷たい。
部屋で待たせてもらおうかと、は部屋に入って扉を閉めた。
虎杖が遅くなった時に寝てる部屋だと言っていた。
確かにこの五条の部屋は、寝るだけの部屋という感じだった。
ただ一つ。身体の大きな五条のための大きめなベッドがあることが他と違う点だ。
「日付…変わっちゃう。」