第5章 ウザい上司 五条×補助監督(R18)
「秘密ってわけではないですが、仕事に持ち込みもしないつもりです。」
「あはっ。さんらしいや。」
「…でも、今日誕生日とは知らなかったので……ケーキくらいなら。」
「うん。いいと思う。先生仕事で夜遅くなる時は高専の社宅の自分の部屋にいるらしいよ。」
そんなことは知らなかった。
いつも会う時はの部屋に五条が来ていたからだ。
「じゃ、早く帰ろう。先生もう帰ってるかなー。もしかしたらまだかも。」
自分の買い物を終わらせた虎杖は、少し小走りで車に乗り込んだ。
「あの…このことは…」
「あー、言わん言わん!てか、先生も恋人とかいるんだな!そんな感じせんよなー!」
けたけたと笑う虎杖に、は胸を撫で下ろした。
仕事中にあれこれ言われたくないは、あまり人に広げたくなかった。
「あ、俺。高専着いたらすぐ帰るからそこでいいよ!さん早く先生とこ行ってあげて!日付かわっちゃうし!」
「仕事はきちっとします。」
「ホントそこに停めて!寮から近いから!」
必死な虎杖の訴えにはしぶしぶ車を停めた。
虎杖のことだから気遣っているはずだとはわかっていたが、そこまで言われたら停めるしかない。
「では、報告書は……」
「ちゃんと書いて明日の朝イチさんに出すから!わかったから!急いで!さん!」
最後まで仕事をしようとするに、虎杖は車を降りて捲し立てた。
「んじゃ!さよなら!」
そういうと、虎杖は目で追えないほどの速さで走っていった。
「……まったく。」
と、は腕時計を確認した。
23:40
「今から行って迷惑じゃないかな。」
はぽつりと呟き、駐車場に向かって再び車を発進させた。