第4章 私の恋 高専夏油
ーー…先輩と恋。
私は横にいる夏油先輩と目があって慌てて、手元に視線を戻した。
「面白そうな漫画だね。持ってる?」
「ありますよ!少女漫画ですけど…私の部屋にあります。」
ギャグ要素多めであるけれど、一応は少女漫画だ。
先輩が楽しめるか少しだけ不安だった。
「今度…の部屋に読みにいっていい?」
「はい、もちろん!お貸ししますよ!」
自分の好きなものに興味を持ってくれて、私は少し嬉しかった。
「…貸すかー。の部屋でって意味だったんだけど。」
「え?」
「ううん。なんでもないよ。」
私はよく聞き取れなかったから、イヤホンを外した。
触れ合うくらい距離から少しだけ離れた私は、少しだけ息をゆっくりとはいた。
「先輩は漫画何が好きなんですか?」
「そうだな。ジャンプは好きだよ。今はやっぱりデスノートかな。あれは本当に面白いよね。」
「知ってます!話題になってましたよね!」
「読んだことない?」
「そうなんですよー。」
もともと裕福ではない私は、漫画も本当に選りすぐりのものしか買えなかったから、少年漫画にはあまり縁がなかった。
「私の部屋にあるよ。今度の私の部屋においで?」
「はい!」
先輩は私ににこっと微笑んだので、私もつられて同じように笑った。
先輩の部屋かー…
ん?先輩の部屋で…?
2人…で?
私は先輩の意図がわからなくて、なんて言おうか迷っていると、先輩も報告書を机に広げ出した。
どうやら私の横で作業をするらしい。
ふと先輩の報告書の横にあるものを発見して、私はそれに釘付けになった。
「あ、これ。」
「ん?あー、これ?どうしたの?私もたまに音楽聴くからね。」
「iPod nanoだ…」
夏油先輩は本体にくるくると巻いてあるイヤホンを解いた。
「あれ?は違うの?これは古いからひと世代前のだよ。」
「これで古いんだー。すごい、かっこいいデザインですね。」