第4章 私の恋 高専夏油
たくさん食べて飲んだ私たちは、今度は色々遊ぼうとみんなで出店を歩いてみていた。
前を行く五条先輩は、くじに輪投げに射的に何するかーって聞いていたが、私はさっきのななみんの言葉が頭から離れなくて、後ろをとぼとぼついて歩いていた。
「足痛い?平気?」
ぼーっと歩いていたせいか、夏油先輩が私の顔を覗き込むように声をかけた。
急に先輩の顔が近くて私は後ろに引いてしまった。
「へ、平気です!あっ…先輩っ。」
私はつい手を伸ばして先輩の袖を掴んだ。
「ん?」
「あの…さっきななみんから聞いちゃって…。推薦のこと。」
「七海のやつ。まぁ、口止めはしてなかったんだけど。」
先輩はにっこりと笑った。
「はその実力があると思ってね。先生に相談したんだ。四級ってことはないと思うから。」
五条先輩たちが射的をしているのを少し離れたところで見ながら、私は先輩の横に立った。
「二級の実力…ですか?」
「うん。の担任の春風先生にも聞いてみたら、座学もしっかりしてるみたいだし、夜蛾先生に推薦お願いしようとしたんだけど、私でもいいって言ってくれてね。」
「夏油先輩が推薦してくれるんですか…?」
「うん。私も一応一級だからね。私の推薦。」
私は胸の前で両手を強く握りしめた。
「…嬉しい。」
「今度私と一緒に二級相当の呪霊を一緒に祓いに行くよ。それが一応試験になるって。ならたぶん余裕だと思う。」
「私、頑張ります!先輩の顔に泥をならないように!」
「私じゃなくて自分のために頑張って。」
「先輩のために頑張ります!」
推薦者が、“私なら”と勧めるんだ。
期待を裏切らないようにしなくちゃ。
私は力入れ、先輩を見上げた。
「うん。期待してる。」
先輩は優しく微笑んで、私の肩をポンっと叩いた。