第4章 私の恋 高専夏油
最後のイカ焼きを一口食べきり、私はラムネを貰うとななみんの横に座った。
「先輩に勧められてもお酒飲んじゃダメだよ。寮でね。」
「飲まないよ。」
以前、硝子先輩にビールを飲まされ死んだように寝たななみんに言うと、顰めっ面になった。
「流石に家入先輩もこんな外で飲んだり…」
ななみんかそう言って顔を上げると、ビール片手に笑う硝子先輩が視界に入った。
「…他人のふりするぞ。」
「まぁまぁ、ななみん。ほら制服じゃないから未成年に見えないよ。」
「見えるだろ。」
ーー…見える。
背の高い男二人の先輩は、ギリギリ大人っぽいけれど、タレ目の童顔の硝子先輩は普通に高校生にしか見えない。
「面白い先輩たちだよね。」
「面白くない。」
ぶすっとしてるななみんの頬を私はぶすっと指で刺した。
「ほんと?」
夏油先輩が一つ余分に買ってきたイカ焼きを、ゆうと夏油先輩と五条先輩で誰か食べるか争奪戦をしてるのを横目に私は聞いた。
「…変な先輩たちだよ。」
「素直じゃなーい。」
「まぁ。呪術師としては尊敬するよ。」
「あっはは。確かに三人とも凄いもんね。」
特級に一級に反転術式の三人だ。
「も。」
「え?」
「今度二級に昇格するの推薦するって言われたんだろ?凄いじゃないか。」
「えっ!?聞いてないよ?」
「そうなのか?夏油先輩が言ってた。」
私は言葉を失い、いまだイカ焼き片手に五条先輩たちと騒いでる夏油先輩に視線を向けた。
「夏油先輩がーー…?」