第4章 私の恋 高専夏油
私は小さい頃から食べてみたかったお祭りのイカ焼きを一つ持って夏油先輩を待っていた。
どうやら、ちょうど焼いていた途中だったようで、五条先輩の分をひとつ今焼いてもらっている。
「そこ座って待ってて。」
「はい。」
言われた石垣に腰掛け、私はイカ焼きを食べながら待っていた。
「んー、美味しい。」
熱いうちにと、先に食べていると、横に男性が座ってきた。
ナンパだ。
こういったチャラい人は、きっと仲間とかで誰が早く連れて来れるかとかって競ってるに違いない。
「一人?」
「いえ、たくさんいます。」
浴衣着てイカ焼きを祭りで一人で食べる女がいるわけないだろうってナンパの男性に言いたかったけど、そこはぐっと我慢した。
「何人?一緒に合流して遊ばない?」
私は首を振った。
もごもごとイカ焼きを食べているのだから、どこかに行って欲しかった。
「遊ばない。」
「大勢で花火とかして遊ぼうよ。だめ?奢るし。」
女だけで来てるとおもってるのだろうか。四人も男がいるって言ったらどんな反応するのかと、少し興味が湧いた。
私は立ち上がって、イカ焼きの屋台の先頭で焼き上がるのを待ってる夏油先輩に近づいた。
「何?奢ろうか?一緒に遊んでくれんの……」
私は夏油先輩の肩に隠れるように、まだ勝手に話す男を睨みつけた。
「彼と一緒なので嫌です。」
「ん?どうした?。」
「なんだよ、彼氏いるって初めから言えって。」
「初めから嫌だって言ってます。」
ちぇっと残念そうに、ナンパしてきた男はどこか次の女性を探しに行くのを私は見つめていた。
「前もナンパされてたよね。大丈夫?」
「ゲーセンとかこういったところって、女の人だけになると絶対ナンパ来ますよね。女なら誰でもいいって気持ちよくわかんないです。」
夏油先輩はくすくす笑って、焼き上がったイカ焼きを受け取った。