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短編集【呪術廻戦】

第4章 私の恋 高専夏油


私は、後ろの夏油先輩をじっと見上げた。

「…ん?何?」
「五条先輩のことなんて呼んでます?」
「え?悟だけど。」
「ななみんと、ゆうは?」
「七海と灰原だね。」

「硝子先輩は?」
「……硝子だね。」


私はじーーっと夏油先輩を見ていると、少し困ったように笑った。


「私は?」
「さん……だね。」


私はむっとした。
私だけそんな他人行儀だなんて寂しい。


「じゃあ、?」


ふっと笑って言う夏油先輩に、私は頷くことはしなかった。
硝子先輩だって下の名前なのに。


「はいや?……じゃあ、?」


夏油先輩の口から私の名前を呼んでもらえて、私は口元がゆるんだ。


「嬉しいです。」


「……まいったな。」
「え?」

「いや、こんな上空のこんな状態でする会話じゃなかったなって。」

夏油先輩は少し私の頭に胸を押し付けて、顎を私の頭に乗せた。


初夏でも上空の風は結構涼しかったけれど、夏油先輩のおかげで寒いことはなかった。


「じゃあ、?」

意外と耳元で先輩の声が聞こえて、私はびくっと肩が跳ねてしまった。

「は、はい。」

「私のことはなんて呼ぶの?」
「先輩は先輩です。」

後ろを振り向いて見上げながら笑うと、夏油先輩はそれは違うと首を振った。


「硝子は?」
「硝子先輩です。」
「だよね?七海と灰原は?」
「ななみんとゆうです。」

「ほら。じゃあ私は?」


「んーー、すぐるん?」
「ぶっ!なんでだよ。」

あははっと笑って夏油先輩は私の頭をわしゃっと撫でた。
それが結構力強くて、バランスを崩しそうになって私は夏油先輩の腰の服を掴んだ。


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