• テキストサイズ

短編集【呪術廻戦】

第4章 私の恋 高専夏油


浮くことのできる呪霊を私も契約しているが、戦う時以外に呼び出したことがない。


「こんなことしようって思ったことなかったです!すごーーい!」

空を飛んでいる。
夏油先輩の背中に手を添え、私は下を見下ろした。


そろそろ日が暮れて、街にぽつぽつ灯りがつき始めたころだ。


「きれー」
「上は急に風が強くなる時あるから気をつけて。」
「はいっ。」


気をつけろと言われても、つるつるふわふわの呪霊の背中は掴めるところがない。

私は目の前の大きな背中を見つめた。


ーーー…夏油先輩。本当に広い背中だ。


ごーごーと鳴る風の音と、なびく夏油先輩の前髪。


「五条先輩と一緒の時は、どうしてたんですか?」
「え?なに?風が強くて!」



「なんでもないです!」

五条先輩、結構距離感バグってる時あるから、気にせず夏油先輩の肩を組んでいたんだろう。

私は落ちないように、夏油先輩の背中の服を指先で摘んだ。

こんな指先だけなんかじゃ、突風が来た時自分を支えられるとは思えないけれど、夏油先輩のお腹に手を回すなんてこと、私にはできない。


「さん、前においで。」
「…へっ?」



急に夏油先輩が振り向いて、私の腰に手が回ったと思ったら、くるっと浮かされ、あっという間に夏油先輩の前に座らされた。


「うん。こっちの方が安全だし、声も聞こえる。」
「……っ!」

どっどっどっ!

と、心臓が驚きと緊張で高鳴っていた。

私は真っ赤になった顔を見られないよう、前を見た。

背中には夏油先輩の胸があたっている。




「血液をカプセルにする…か、色々難しそうだね。」

緊張で何も言えずにいた私に夏油先輩が切り出した。

私は後ろの夏油先輩を振り返った。


「はい。でも、戦ってる最中に自分の血を出して飲ませるよりは、簡単かなって。」
「確かに。固めた血でもいいのか、血の液をカプセルの詰まるのか、硝子に色々相談してみるといい。」

「はい。」

/ 142ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp