第4章 私の恋 高専夏油
以前数千の呪霊を取り込んで、全てを把握していると言っていた夏油先輩はその玉を全てそうやって取り込んできたんだろう。
私の前でやらないくらいだ。気分がいいのもじゃないはずだ。
「でも、呪霊って変な味しますよねー。うぇ。」
「え?」
私は思い出しながら、舌を出した。
「なんていうか…卵が腐ったみたいなやつとか、臭いやつとか。」
「あ、そうか。さんも口に入れないといけないんだっけ。」
「そうですよー。あれ、嫌ですよね。」
「そうだね。」
夏油先輩は、くすっと笑った。
「あの味をわかってくれる子がいて嬉しいよ。」
夏油先輩が小さく言った。
「私も玉みたいに固くごくっていけるやつがいいなー。私、前飲み込んだ呪霊、ぶにぶにしてて口の中で弾けて死ぬかと思ったんですよ!」
「あははっ。それは気持ち悪いな。」
「夏油先輩のも大きいから大変ですよね。なんかもっとこう小さいカプセルみたいに……あっ!!」
私はあることを思いつき、夏油先輩の腕にしがみついた。
「ん?どうしたの?」
「そうだ!!いいこと思いつきました!!」
私は目を輝かせ、高専に早く帰ろうと、夏油先輩を急かした。
「私の血をカプセルにしちゃえばいいんですよ!」
「あー、呪霊に飲ませるためのね。」
「はいっ!いけますかね!?」
思いついた嬉しさのあまり、飛び跳ねながら言うと夏油先輩は、にっこり笑って頷いた。
「いい考えかもしれない。硝子に相談してみよう。」
そう言うと、夏油先輩の後ろに歪みが出来、大きな平たい呪霊が出てきた。
「わっ、かわいい!」
「かわいいか?乗って。一緒に高専に戻ろう。」
夏油先輩が、エイのような呪霊に乗ったので、私も彼の後ろにゆっくり座った。
呪霊は柔らかく座り心地は最高だ。
「…二人で重くないですか?大丈夫?」
私が夏油先輩の出した呪霊の背中を撫でると声をあげて笑った。
「悟と二人で乗ったこともあるから平気さ。呪霊の心配するのはきっとさんの術式が関係してるんだろうね。さ、いくよ。」
そう言うと、ぶわっと空へと飛び上がった。