第4章 私の恋 高専夏油
自覚なんてしていない。
別に好きとか…そんなんじゃない。
って、自分に言い聞かせてる時点で、きっと私は夏油先輩を意識しているんだと思う。
「さん?」
「は、はいっ!」
「なんか難しい顔してるけど、大丈夫かい?」
「大丈夫です!頑張ります!」
「はは、そんなに気張らなくいいよ。」
今日は東京の郊外で夏油先輩と二人で任務だった。
本当は夏油先輩だけの任務だったけれど、術式が似てる私はたまにこうやって担任に言われ、夏油先輩に同行しては、色々教えてもらっていた。
五条先輩に“お前らなんかあったのか”と言われ、少し気まずい空気にはなったけれど、今はもう普通に話せるようになっていた。
目の前の呪霊を夏油先輩が呪霊玉にするのを横で見ながら、ぼーっと考えていた。
「さん、だいぶ強くなったね。」
「ホントですか!?」
「うん。さっきもいいタイミングで呪霊出してたし。」
夏油先輩は調伏させた玉をポケットにしまいながら、私に微笑んだ。嬉しかった。
呪霊操術の夏油先輩に褒められることはこの上なく嬉しかった。
「あとは、もっと素早く呪霊と契約する方法を考えたいんです。」
私の契約方法は私の血を呪霊に飲ませ、相手の体の一部を飲み込むこと。
これを簡単にできたらいいのだけれど。
「そうだね。」
私はさっき夏油先輩がしまったポケットに視線を向けた。
「それどうやるんですか?」
「あー…」
夏油先輩はどこか気まずそうに眉を寄せ笑った。
「あ、内緒でした?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。」
「呪霊を取り込むには、これを飲み込まないといけないんだ。」
「わぁ!大変だ!」
結構大きいように見えた、呪霊の玉。
確かに人前で飲み込むのは嫌かもしれない。本当は取り込むところを見たかったけれど、口からってなると、私はこれ以上見ようとはしなかった。