第5章 ある意味疲労
「なんかもう疲れたな……」
と俺が思わず呟き、ようやくクリーパーちゃんがいる最奥のトンネルにやって来ると、そこは深層岩エリアの手前くらいの地層だった。
「やっぱ、石のツルハシだけじゃ深層岩は壊せないのか……?」
と俺が呟いても、クリーパーちゃんは何か言うどころか反省する気もない様子でこっちをじっと見つめている。
……可愛いから許そう。
「あ、なんか聞こえる」
クリーパーちゃんに「待ってて」を忘れずに指示して辺りを歩き回ってみる。この音は間違いなくアレだ……と近くの石を掘ってみると、やはりマグマ溜まりがそこにあった。
「たいたい! それなぁに?」
その場でジャンプをするクリーパーちゃん。俺は説明をすることにした。
「マグマ溜まり。エンドラを倒すのにネザーに行かなきゃいけないからね、ここでネザーゲートを作るんだよ」
鉄はあるし、そこの砂利を掘ったら火打石も出るだろう。ただ、俺には一つ気になることがあった。
「俺思うんだけどさ、クリーパーちゃんにダイヤツルハシ持たせたら、黒曜石も壊せるんじゃね?」
黒曜石は一つ一つ掘るにはかなり時間がかかる。だから俺は、クリーパーちゃんの力を使って簡単に黒曜石を取りたかったのだ。
「鉄のツルハシ持たせたら深層岩掘れるかな」
と俺は言って一瞬迷う。クリーパーちゃんに一度鉄のツルハシを渡してしまえば、返却されないのでは……?
「まぁいっか」
更に鉄が必要だったらまたクリーパーちゃんに掘って貰おう。俺はそんな気楽な思考でクリーパーちゃんに鉄のツルハシを渡してみた。
するとクリーパーちゃんは、ぽんっと石のツルハシを落とし、鉄のツルハシに持ち替えた。良かった。別のツルハシを渡したら、前に持っていたツルハシは返してくれるらしい。
「よし、掘ってくれ!」
俺はクリーパーちゃんに「掘る」指示を出した。クリーパーちゃんはあっという間に大きなトンネルを作りながら深層岩を次々と壊していった。見ていて心地いいくらいだ。チャット欄の視聴者たちも、どんどんと石が壊されていく様は見ていて爽快らしい。
「たいたーい! 見て見て! 青いキラキラ見つけたよ!」
間もなく、奥の方でクリーパーちゃんがそう言ったのが聞こえてきた。俺は急いでクリーパーちゃんの方へ向かった。おかしな方向に掘られたら困るからだ。
