第19章 鈴
「今度は貴様も金にしてやる!」
次のエンドラの狙いは俺だった。俺は思わず声を上げて走り出すが、どうやって避けたらいいのか。エンドラと繋がったままのクリーパーちゃんの体力は未だ奪われ続け、徐々にエンドラの体力が回復していた。早くしないと与えたダメージ分を回復されてしまう……!
「そうはさせない!」
と飛び出したのはクリーパーちゃんだった。クリーパーちゃんはまた大きな鈴で残りのエンダーマンを纏め上げ、エンドラに向かって突撃をし始めた。俺は、逃げてばかりではいけないと斧を握り直した。
「いけぇ、クリーパーちゃん!」
「オッケー!」
俺の声に応じて、クリーパーちゃんとエンダーマンたちはエンドラに二度目の攻撃を仕掛けた。二度目は掛かるまいとエンドラも足掻くが、エンダーマンの数が多すぎた。
「くっ! どんな数で掛かっても俺様は……」
ドガーン!!
そこにクリーパーちゃんの爆発。エンドラは見事に地面に叩き落とされた。
「今度こそトドメだ!」
俺は駆けつけ、何度か斧を振り下ろした。俺の手元で鈍い音がする。いつもより妙に緊張した。
そうして、エンドラの体力が残り三分の一となった時に、それは起きた。
まず俺の視界が急に傾いたのだ。
「貴様からやってやる!」
「えっ?!」
自分でもびっくりするくらい高い声が出た。直後には、俺の体は宙に浮いていて、真下ではクリーパーちゃんが叫んでいた。
「たいたい!」
俺はエンドラに捕まって空中で振り回されていたのだ。画面酔いするからと三人称視点に切り替えると、紫色に光るエンドラの瞳がちらりと映った。
「ええ、怖い怖い!」
ここからどうなるのか、俺は全く予想出来ないままマウスを操作したりキーボードを叩きまくったがなんの変化もなし。完全に動けない状況に俺はかなり焦った。
「ガッハッハッ、怖いか!」エンドラは満足気に笑った。「もっと恐ろしいものを見せてやる!」
「えっ」
するとエンドラはぐるぐると旋回した。俺はそれだけでもう嫌な予感がした。ちょっと待って、それって……!
俺は勢いよく地面に投げ出された。ゲーム画面を見ているだけだというのに、リアルに自分の体も浮いたような感覚がしてゾッとした。見るとあんなにも早く地面が迫ってきている! 水バケツ……は水が入っていない!
「たいたーい!」
クリーパーちゃんの声が間近で聞こえた気がした。
