第19章 鈴

｢これこれ！　探してたんだ〜｣一方、俺の様子なんて気にもせずクリーパーちゃんはそう言った。｢たいたい、見ててね！　アタシ、アイツやっつける！｣
｢え……｣
　クリーパーちゃんは俺の視界から飛び出して走って行った。あんなに元気がなかったのにどこからそんな力があるのか、と思う程力強く。そして右手にはあの大きな鈴。クリーパーちゃんが鳴らすとリンッリンッと音が鳴り、今までエンドラにタゲを取っていたエンダーマンが一斉に集まり出した。俺が持っているだけじゃエンダーマンだけは集まらなかったあの鈴が、クリーパーちゃんの周りに群れを作り始めて……。
｢危ないっ｣
　俺が思わず叫ぶのも気にせず、クリーパーちゃんは飛んだ。つられるようにエンダーマンの群れも空を飛び、まるでクリーパーちゃんを先頭に銀河を走る列車のようにも見えた。
｢いっけー！｣
　クリーパーちゃんがそう言ったかと思いきや、空を飛んだエンダーマンたちがエンドラに向かって殴りかかったのだ。あの鈴、そういう使い方をするものだったのか。
｢何体来ようが効かんわ！｣
　しかしエンドラの体力は、そこまで削れているように見えないのも確かだった。エンドラは一度空中で止まり、何かしようと首を振り上げた時、クリーパーちゃんが真正面から突っ込んでいったのだ！
｢これなら効くでしょ？｣
　ドガーン！！！！
　見ただけでも分かる帯電クリーパー並の爆発。エンドラは呻きながら地上に叩き落とされた。周りにいたエンダーマンは一斉になって襲いかかる。
｢たいたい、今だよ！｣
　クリーパーちゃんに言われてハッと我に変える。攻撃のチャンスということか！
｢分かった！｣
　俺は走り、斧を手にする。振り下ろすのは地面に投げ出されているエンドラの首だ！
　ガンッと鈍い音がした。同時に、画面上のエンドラの体力が一気に減る。このまま斧を振り続けようとしたが、エンドラは黙っていなかった。
｢小賢しい真似を！｣
　エンドラは羽ばたき、頭をぶんぶんと振り回した。その口から吐き出されるブレスに俺は後退したが、気づかないエンダーマンは次々と金ブロックになってしまったのだ！
｢ええっ｣
　作り込みがえげつない。よく見るとそれは金ブロックではなく、エンダーマンの形をした金の置き物みたいなアイテムになっていた。俺の目の前でそれらが散らばり、まるで黄金の雨みたいだ。