第19章 鈴
「……え?」
急になんだとクリーパーちゃんを振り向く俺。クリーパーちゃんはすでに俺の頭から下りていて相変わらずぐったりしていそうだったが(丁度プレイヤーがシフトを押しているような状態だ)、俺に丸い目で真っ直ぐと見つめているのはいつも通りだった。
「鈴はあるけど……」
俺は手持ちから鈴を取り出す。これのおかげで敵MOBが寄って来て今にでも手放したい思いだったが、今はクリーパーちゃんに渡したくなかった。何か胸騒ぎがしたからだ。
「それ、探してたんだ」クリーパーちゃんが話し続ける。「たいたい、ウチに渡してくれる?」
「いや、まぁ……でも……」
ぽんっ。
本当に小さな音だった。俺がインベントリに入れた鈴にカーソルを合わせた瞬間、投げていないのに鈴が手持ちから飛び出した。
「え、押してない押してない!」
と騒いだところでどうすることも出来ず。画面奥の視聴者さんたちも困惑している様子だった。だって最初は束縛の呪いだったはずなのに!