第18章 エンドへ
クリーパーちゃんの動きが鈍くなった。と同時に、クリーパーちゃんの体から何かが抜けていき、そのエネルギーがエンドラへと注がれていった。あれは俺も見たことがある。本来エンドラの体力を回復させているエンドクリスタルの線みたいなやつだ。
見るとこのエンドには、エンドクリスタルが存在していなかった。それが今は、クリーパーちゃんで代用されているということは……。
「まさか……!」
俺は水バケツを用意し、クリーパーちゃんのいるところへ登って行った。その間、画面上に表示されているクリーパーちゃんの体力が徐々に減っている。どうやって助けたらいいんだ?!
「ギィイ!」
こんな時にエンダーマンの声。俺、どこで目が合ったんだよ?
声を辿って水から顔を出すと、エンダーマンが狙っているのは明らかに俺ではなかった。エンダーマンは、エンドラの方に向かって群がったりテレポートしたりを繰り返していたのだ。
(そうか、エンダーマンはエンドラと敵対するんだったな……)
と本来の設定を思い出しながらクリーパーちゃんがいる鉄格子を壊すと、ゆっくりと女の子が俺の方に近寄ってきた。
「たいたい、なんか力が出ないよ〜」
あんなに元気だったクリーパーちゃんが、こんなに元気がなくなっていると心が痛む。俺はクリーパーちゃんにとにかく地上に下りるよう促した。
「ここから飛び降りよう!」
「分かった……」
俺の言葉に返事したと思いきや、クリーパーちゃんの姿が目の前から消える。え、と声を漏らして視点を三人称に変えると、クリーパーちゃんは俺の頭上で座っていた。某マルチワールドではよく見た光景だ。
「行くぞ、クリーパーちゃん!」
ぴょんっと跳ねて黒曜石の柱を飛び降り、バケツから垂れ流したままの水に着水する。あ、水を掬い忘れてしまったな……と見上げると、エンドラのブレスが広がっていて取り返しに戻るのは面倒そうではあった。
「たいたい、全然力が出ないよ……」
そして、クリーパーちゃんから体力が奪われていることは変わらず、飛び回るエンドラの体力を回復させ続けている。
「これ、どうしたらいいんだよ!」
何も解決策が思いつかないところに、クリーパーちゃんが唐突にこんなことを言い出した。
「たいたい、鈴持ってる?」