第18章 エンドへ
「ここは、もう既に爆発物のない世界となった。あとはあの奇妙な姿をしたクリーパーを消すだけだ」
構わず喋り続けるエンドラは、鋭い鉤爪で檻の中にいるクリーパーちゃんを指した。クリーパーちゃんはがっつり鉄格子に張りついて叫んだ。
「嫌だ! 消えたくない!」
「たわけ、バグが!」エンドラの声が遮る。「元々クリーパーはバグの存在! 世界の王ともなるこの俺様が、クリーパーを消したところでなんの秩序が乱されるという!」
某おじの声が吹き込まれたエンドラのセリフは迫力満点だった。しかし、俺にはまだ分からないことがあった。
「爆発物のない世界ってどういうこと? ベット爆破出来ないってこと?」
俺の手持ちには複数個のベットがあった。エンドラを手早く倒すために、いつものルーティン感覚で初期地にあった村から持ってきたものだ。
「ならやってみろ! もう俺様は、そんなものは恐くないぞ!」
俺は躊躇った。その言い草、どうせ効かないのだろうと思いながらもエンドラに近づいて足元にベットを置いた。その間少しも逃げようとしないエンドラがますます怖い。このゲーム世界、思っていた以上に色々出来るんだな。
念の為盾になるブロックを積んでベットに触ってみる。途端に赤い文字が走った。
ベットが爆破しない!!
まさかのホラー風味な演出に、俺は思わず飛び上がってしまった。操作しているキャラクターに反映されなかったのは良かった。あんまり激しく動くと画面酔いするし。
「びっくりしたぁ」
俺がなんとかリアクションの声を振り絞ると、エンドラは更に話し続けた。
「ハッハッハッハッハッ! この世界に俺様の天敵はもういないのだ! ……貴様さえ倒せば終わりだぁ!」
咆哮。続けざまにエンドラはブレスを吐き、俺はすぐにかわす。ブレスの吐かれた跡は、金ブロックに変化していた。
「たいたいっ……きゃあ?!」
そこにクリーパーちゃんの悲鳴。見るとエンドラは、クリーパーちゃんのいる檻に後ろ足を乗り上げて脅していた。
「貴様もこの世界から消える運命だ! 俺様の力となる生け贄になるのだ!」
それからエンドラはまた咆哮を上げ、空へと飛び立つと……。
「あれ……なんか、力が……」