第17章 鈴を持った俺
「みんな、どう? 画面カクついてたりする?」
配信の状況がスムーズなのかどうか、確認のために視聴者さんたちに聞いてみる。大丈夫だよー、と複数人からの反応。機種によってカクつく時もあるみたいだから安心した。
「このまま奥に続いてそうだし、ここから探すか」
何より地上には戻りたくない。座標はおおよそ覚えているし、確かこっち側だったはず、とツルハシを使いながら洞窟を掘り進めた。その間は敵は全く出会わず、これこそ嵐の前の静けさみたいだった。もう嵐なんて来なくていいが。
「あ、これは」
深層岩が見え始めた頃、明らかに自然物ではないブロックが出てきた。石レンガだ。
そのまま石レンガも掘ると、ぱっと明るく開けたところに出た。間違いなく目指していたエンド要塞だ。
「すぐポータルを見つけよう」
と俺は言ったが、中途半端なところから入ってきたのでポータルの位置の検討すらつかない。シルバーフィッシュが出てくる時は普通に面倒だ。一匹二匹出てこようものならば、関係のないところから湧き出して湧き出して要塞の形がどんどんなくなってしまいそうな勢いだった。
「ちょ、お呼びじゃないから!」
そこに自然湧きなのか鈴に呼ばれたのか、ゾンビまで襲ってきて非常に危険な状態となる。狭いところだからか一体しかいなかったのはまだマシな方だ。バキッとたった今、斧は壊れたが。
「あ、音がするな」
画面外から聞こえるシルバーフィッシュの音に、スポナー読みをした俺は、音を頼りにツルハシを振った。一、二ブロック。大きく聞こえてきた音と共に、空間が見えてきた。
「こんなん絶対見つからないだろ……」
ポータル部屋は要塞のどこの通路にも繋がっていない隔離されたような場所に生成されていた。すると視聴者さんたちが次々と、不憫だ、不憫たいたいだとコメントを流してくる。俺は不憫じゃないって!