第14章 道のり
俺たちは大回りをしながらネサゲのところに戻ってきていた。
結局、途中でピグリン要塞を見つけるどころか青森も見つからなかった。なぜかピグリンも見当たらないし。金が安全に掘れたのは不幸中の幸いか。
チャット欄をちらりと見ると、クリーパーちゃんの力でエンダーマンは引き寄せられないんだな、とコメントが流れた。それはさっきも思っていたところだ。やはり調整だろうか。
「クリーパーちゃん、進化したりしないの?」
と俺が言ったところでクリーパーちゃんの様子が変わることなく、可愛い顔で見つめてくるばかり。
するとチャット欄から「爆発の回数では?」とか「戦った回数?」などなど考察が飛び交った。それはあるかもしれないが、もし爆発の回数ならダル過ぎる。
「まぁ行こうか」
俺はそう言って歩き始めた。今度はネザー要塞があった方向とは反対のマイナス座標の方へ向かう。実は近くにあったりして、なーんて呟いていた時にそれは起きた。
クリーパーちゃん進化!
「えっ?!」
画面いっぱいに出てきた文字に俺はびっくりする。やめてよ、急にホラゲ感出すの!
「見て見て、たいたい!」
一方のクリーパーちゃんは楽しそうにそう言ってなぜかその場でくるくる回っていた。やがてキラキラしたエフェクトが出てクリーパーちゃんを包み、ぽんっと煙が出たあと、進化した姿が俺の画面に映った。
クリーパーちゃんは、緑のパーカーにやや青緑に光っているようなラインが入ったデザインになっていた。そして、片手には大きな鈴を持っている。
「クリーパーちゃん、それ何?」
俺が興味本位で聞くと、クリーパーちゃんがぽんっとその大きな鈴を渡してくれた。俺は持ち物欄を開いてその鈴にカーソルを合わせた。
エンダーマンを引き寄せる大きな鈴!
鈴にはただそれだけの説明が書いてあった。分かりやすい一文だ。
「これでエンダーマン狩り出来るじゃん!」
と俺は言いながらも、なぜピンポイントでエンダーマンだけなのかの疑問は残る。さすが、ウエノ氏の作ったMODだ。それとも、俺がパールで沼ることを知っていたと……?
「これでエンダーマンを呼び寄せよう!」
俺はそう言って鈴を持ってみたが、なんの反応もない。右クリックや左クリックしても変化なしだ。