第1章 出会い
壬氏様は名案だとでも言わんばかりの顔で、高順さんは少しだけ眉を顰めて、私は頭にはてなを浮かべて。
三者三様のリアクションでにこにこと微笑む水蓮さんを見つめた。
「確かにそれが一番問題が起きなさそうだ」
どうやら私を外に出すと問題を起こすと思われているらしい。
反論したかったけれど、先ほど壬氏様に向かってしたことを考えればそう思われても仕方ないかもしれない、と出かかった言葉を大人しく飲み込んだ。
「水蓮1人では色々と大変だろうしな」
うんうんと首を縦に動かす壬氏様を見て、高順さんはがっくりと肩を落としている。
「若い子がいてくれるととっても助かるわ~」
壬氏様の言葉に同意するように頷く水蓮さんはとても嬉しそうだ。
事情がよくわかっていない私を除いて、この中でただ一人、高順さんだけが不満げな表情を浮かべていた。
それに気付いた壬氏様が「なんだ高順、文句でもあるのか?」と問いかける。
「いえ、彼女を外で働かせるのは私も反対なのでそれはいいのですが…」
水蓮さんの意見に大方賛成であることは認めるものの、高順さんは「ただ…」と言いにくそうにそこで一旦言葉を切った。
「壬氏様の仕事に支障が出なければよいなと思っただけです」
自分が何を言ったところで無駄なのだろうと半ば諦めたような声色で高順さんはそう呟くが、まさにその通りで、壬氏様は自信満々に「大丈夫だ」と胸を張って答えた。
私、壬氏様のお仕事にまで影響を与えるような問題児だと思われているのか…と軽くショックを受けたのは内緒にしておこう。
「では決まりだな」
うん、と大きく頷いた壬氏様が私に向き直った。
「お前、名はなんという」
そう聞かれて初めて、いまだ名前すら名乗っていなかったことに気付いた。行き倒れているところを助けてもらったというのになんて失礼な…!
「です…!17歳です」
今更遅い気もするけれど、深々と頭を下げて自己紹介をした。
壬氏様はにこりと、全人類がもれなく気絶しそうな眩しい笑顔を浮かべた。
「、明日からお前は俺の侍女だ」
すみません。
侍女ってなんですか???