第1章 出会い
なんと表現したらいいのだろうか。
その人は私の語彙力ではとてもじゃないけれど言い表せないほどの超絶美人だった。
超絶美人さんは、誰もが見惚れるような柔らかい笑顔でこちらを見つめている。
すごい、後光が見える…!
周りの空気までキラキラに輝かせながら、彼女はこちらを向いてただじっと座っていた。
その視線がなんだか私の様子を伺っているようにも感じて、少しだけ居心地が悪い。
自意識過剰だろうか。
とりあえず寝汗をかいていたようなので服を替えようかと、優しいご婦人が用意してくれた着替えに手を伸ばした。
綺麗に畳まれていた布地を広げてみる。
シルクだろうか、肌触りのよい上品な色合いの生地に少し刺繍もされているようだ。うん、高そう。
けれど、手に取ったはいいが、どう着たらいいのかがわからない。
そういえばご婦人も美人さんも、2人とも中国感溢れる服を着ている。なんていったらいいのか、中国の宮廷を舞台にしたドラマや映画でよく見るような感じの。
今目の前にあるのも、思いっきり中国!という感じのものだ。
着物に似ているけれどちょっと違うような。
まあそもそも着物だって、物心ついてから着たことないんだけど。
着替えを手にしたまま考え込んでいる私に、超絶美人さんは怪しいものでも見るような視線を送ってくる。
美しい顔の眉間に少しだけシワが寄る。
それでもとんでもない美人なのだからすごい。
でもなんだろう。
なにか疑われているような。
不審に思われているような。
そんな視線が全身に突き刺さる。
話しかけるのは気まずいけれど、汗をかいたままでは気持ちが悪い。
意を決して着替えを手に、美人さんに声をかけた。