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侍女の日常

第1章 出会い


目を覚ますと、そこはまるで別世界のようだった。




ふわふわのベッドから身体を起こすと、優しそうなご婦人に声をかけられた。

「あら、目が覚めたのね」

まったく見覚えのない人である。
広くて豪華な部屋もふかふかの大きなベッドも、自室のものとはまったく異なっていた。

「見たところ怪我はしていないみたいだけど、痛いところとかない?」

心配そうな顔で問われる。見た目通りの優しい人だ。
両手を軽く動かして確認するが、ご婦人の言うように特に怪我などはないらしい。

「大丈夫です」

というか、怪我???
知らない間に私は怪我をするような事態に陥っていたってこと???
一体なにがあったっていうの…。こわ。

目覚める以前の記憶が朧げで、自分がなにをしてこんな状態になっているのかまったく見当もつかない。

「白湯だけど飲めるかしら?」

「ありがとうございます」

湯呑みに注がれたそれを素直に受け取ると、ごくごくごくと一気に飲み干した。
なんでかものすごく喉が乾いていたからありがたい。

「そこに着替えが置いてあるから、よかったら使ってね」

優しいご婦人はそう言うと、にこにことしながら部屋を後にした。

1人残された私は、とりあえずこの謎の状況を整理してみることにした。

けれど、まったくもって意味がわからなかった。

ここがどこなのか。
なぜ知らない部屋で寝ていたのか。
あのご婦人は誰なのか。

全てがまるで謎すぎて、私の頭では理解が追いつかない。

部屋の内装を見る限りでは、昔の中国の建物のようだなと思ったけれど。
日本にいた私が突然中国に瞬間移動するなんて考えられない。

言葉も通じているし、日本のどこかなのだろうとは思う。けど。

だとしても、状況が飲み込めないことには変わりはない。

もう一度、なにかの手がかりがないかと部屋を見回したとき、奥に誰かが座っていることに気づいた。

私の視線を感じたようで、その人物はこちらに目をやりにこりと笑った。

とてつもない美人さんがそこにいた。
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