• テキストサイズ

【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第6章 貴方は何が好き?


 次の試みはアイスコーヒーだった。

 深煎りのイタリアンローストを使い、濃いめに抽出したコーヒーを急冷する。苦みが際立つが、後味はすっきりするのが特徴だ。ビアンカは氷をたっぷり入れたグラスに注ぎ、カランと澄んだ音を響かせながら、バージルの前に置いた。

 「今日は冷たいのを試してみない?」

 バージルは一瞥したあと、特に何も言わずグラスを手に取る。

 いつものように、一口。

 ビアンカは彼の微細な反応を逃さないように注視する。

 ……ふむ。

 眉一つ動かさず、淡々と飲んでいるが、いつものようにすぐにカップを置くことはない。

 二口目、三口目と続けて飲む。

 (あ、これは)

 明らかにアメリカンのときよりも反応がいい。

 「どう?」

 珍しく、バージルの手が止まり、少しだけ考えるそぶりを見せた。

 「悪くはない」

 簡潔な返答だったが、これまでの試行を考えれば、十分な評価だった。

 (へぇ……アイスコーヒーは飲めるんだ)

 しかも、深煎りの苦みが際立つイタリアンロースト。やはり彼は苦みを嫌っているわけではなく、むしろ適度な強さを求めているのだとビアンカは確信する。

 「じゃあ、これはまた淹れてもいい?」

 「……好きにしろ」

 その返答に、ビアンカは小さく笑った。
/ 210ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp