第9章 少年は剣を取る(DMC4本編直前まで)
──そして、時が過ぎていった。
ネロは、確かに強くなった。
バージルの厳しい訓練の中で、彼は倒れても倒れても立ち上がり続けた。
そして、キリエもまた、少しずつ変わっていった。
最初は塞ぎ込んでいた彼女だったが、ある日、何気なく歌を口ずさむようになった。
「……キリエ、それ」
クレドが気づいたとき、キリエは驚いたように顔を上げた。
「その歌……」
「……お母さんが、小さい頃によく歌ってくれたの」
それ以来、キリエは少しずつ歌を歌うようになった。
祈りではなく、歌に心の拠り所を求めるようになったのだ。
やがて、彼女の歌声はフォルトゥナの人々の心を癒すようになり──
いつしか、「歌姫」として、大成していくことになる。
ネロは、彼女の歌を聴くたびに思うのだった。
「オレは、キリエを守れるくらいに強くなれたのか?」
答えを出すために、彼はまた剣を握る。
「親父、次は負けねぇぞ!」
そして、バージルもまた、それに応えるように剣を構えた。