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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第1章 再会


悪魔の死骸が床に転がる。
散らばる黒い血と、なおも燻る瘴気の残滓。
バージルは閻魔刀を払うと、じっとそれを見下ろした。

──何の意味もない。

悪魔どもを狩ったところで、それが何になる。
ここで俺が剣を振るおうと、フォルトゥナの悪魔の群れが消え去るわけではない。
ただ、こいつらが狙ったのは──
視線を巡らせると、床に膝をついたままのビアンカと、彼女にしがみつく小さな子供が目に入る。

「……ネロ」

ビアンカが、幼子を抱きしめたままその名を呼ぶ。
それを聞きながら、バージルは閻魔刀を鞘に納めた。
彼がここに来た理由は、スパーダの血を引く子供の確認だった。
興味があるわけではない。
ただ、存在を知り、確かめたかっただけだ。

──ならば、目的は果たされたはずだ。

それなのに、まだここにいる理由は何だ?

「……」

バージルは踵を返した。
ビアンカが、顔を上げる。

「待って」

低く、掠れた声。
バージルは振り向かない。

「アンタ、まさか……今ので終わりだと思ってるの?」

ビアンカの言葉に、バージルは足を止めた。

「……何が言いたい」
「悪魔はまた来るよ」

その声は、怒りとも、焦燥ともつかない。
ただ、確信めいていた。

「ネロはスパーダの血を引いてる。だから、また狙われる」
「…………」
「アタシひとりで守れるかわからない」

それは、ただの事実だった。

「……俺に、ここに留まれと言うのか?」

ビアンカは言葉を選ぶように、少しだけ間を置く。

「留まれとは言わない」

その言葉に、バージルはほんのわずかに目を細める。

「……ならば、何だ」
「……選んでほしい」

静かな声だった。

「ネロを守るべきかどうか、アンタが選んでほしい」

選ぶ。
その言葉は、バージルにとって妙に耳に引っかかった。

「アンタは強い。でも、強いからこそ、そういう選択をすることができるでしょ?」

ビアンカは、幼子を抱えながら、まっすぐにバージルを見上げた。

「もしアンタが、ネロを守る価値はないって思うなら、それでいいよ」
「……」
「でも、もしそうじゃないなら……アンタにはここにいてほしい」
「……」
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