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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第16章 平和な日常を


「ん?」

 バージルが一瞬だけ目を細めた気がしたが、特に反論はしない。

 相対的にダンテの撫で方のほうが圧倒的に上手いのは事実だった。

「おっ、気に入った?」

「いや、そういうわけじゃねぇけど……」

 ダンテの手はまだネロの頭を撫で続けている。

 しかし、当のネロはそれを引き剥がすのも忘れて、バージルを睨みつけている。

「つーか、そもそも撫で方ってのはこうだろ! なんでオヤジはゴリゴリするんだよ!」

「俺に聞くな」

 バージルはまるで関心がないとばかりにそっぽを向いた。

「はぁー……」

 ネロが肩を落とした瞬間、ダンテがニヤリと笑って手を止めた。

「……で? そろそろ俺の手をどけようとか思わないのか?」

「ん? え?」

 ようやく気づいたネロが、慌ててダンテを振り払う。

「おまっ、何してんだよ!!」

「いや、坊やが引き剥がさないから、ついな」

「つい、じゃねぇ!!」

「ったく、俺の時はすぐ逃げるくせに」

 バージルが低く呟くと、ネロは「そりゃそうだろ!!」と叫び、さらにぎゃんぎゃん喚き散らした。

「これくらいだよ」

 ビアンカが優しくバージルの髪を撫でる。

 力を込めすぎず、けれど確かな温もりを感じられる絶妙な加減。

「ふふ、こんな感じ。ヴィオラに触れる時もこれくらいにしなよ」

「……」

 バージルは無言だったが、嫌がる様子はなかった。

 むしろ、じっと大人しく撫でられているあたり、まんざらでもなさそうだった。

「へぇ〜」

 その様子をじっと見ていたダンテが、にやりと笑う。

「なら俺も試してみようかなぁ?」

 そう言って手を伸ばした瞬間、鈍い音とともに、バージルの拳が容赦なくダンテの脳天に振り下ろされた。

「ぐはっ!?」

「貴様に触られる覚えはない」

 あまりにも躊躇のない手刀だった。

 ダンテは頭を押さえながら、その場でふらつく。

「……おいおい、坊やにしろよ、俺にもしろよ、なんでそんな容赦ねぇんだよ!!」

「死にはしないだろう」

 バージルは冷淡にそう言い放ち、再びそっぽを向く。

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