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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第16章 平和な日常を


 ネロが痛みに顔をしかめ、バージルの手を振り払うようにして抗議する。

「いってぇ!? おまっ、その力加減でヴィオラに接してねぇだろうな!?」

 思わず眉をひそめながら、ネロは自分の頭を擦る。

 バージルはそんな息子の様子を特に気にする風でもなく、ただ静かに見下ろしていた。

「……」

「なんだよ、その顔」
 
不機嫌そうに睨み返すネロだったが、バージルの表情はどこか遠いものだった。

 まるで、何かを思い出しているような、懐かしむような。

「いや……」

 バージルは一言そう呟いた後、ふと視線をそらす。

 代わりに、そばでヴィオラを抱いていたビアンカがクスクスと笑った。

「ネロ、アンタ赤ちゃんの頃もよくお父さんに撫でられてたんだよ」

「は? 嘘つけ、覚えてねぇぞ」

「当たり前だろ、赤ん坊だったんだから。でもねぇ、今と同じでぜーんぜん加減してなくてさ」

「……おい」

 ネロが引きつった顔をするのを見て、ビアンカはさらに笑みを深める。

「そのたびにアンタ、ふぎゃーって泣いてたんだから」

「……」

 バージルが少し目を伏せ、言葉を飲み込んだ。

「そっかぁ……そりゃ、こんな頭ゴリゴリやられたら泣くわな」

 納得したように呟くネロ。

 しかし、次の瞬間、バージルの手が再び伸びてくるのを察知すると、素早く身をかわした。

「ちょ、待て待て! もう撫でなくていいから!」

「そうか」

 あっさりと手を引くバージルに、ネロは拍子抜けする。

「お前も、もうそんな年齢ではないな」

 淡々とした声音でそう言われ、ネロはなんとなくムッとする。

「そりゃそうだろ、もう大人なんだからよ」

「……」

「手加減覚えろよ! まじでさぁ!」

 ネロがぎゃんぎゃん喚きながら頭を擦っていると、今度はふいに別の手が彼の後頭部に降ってきた。

「よっ、坊や」

「んぁ?」

 ダンテの声とともに、程よい力加減の撫でが入る。

 バージルとは違い、ちゃんと人間相手に適した強さだ。

「これだよ!! 見習えよ、オヤジ!!」

 思わずネロは叫んだ。

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