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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第15章 魔女と半魔の契約


 微かな気配を感じて、まどろみの底から意識が浮かび上がる。

 柔らかな何かが背中に触れている。

熱を帯びた吐息が、ゆっくりと肌を撫でていた。

 ──ビアンカか。

 確信しながらも、目を開けることはしなかった。

 彼女の気配は穏やかで、それでいて、どこか寂しげだった。

 何かを思い詰めている。

 そう察しても、すぐに声をかけようとは思わなかった。

 ──馬鹿め。

 地獄に落ちるだと?

 俺を巻き込んで?

 ましてやそれを、まるで引け目を感じているように囁くのはなぜだ?

 あまりに浅はかだ。

 貴様は忘れているのか?

 俺がどれだけ力を求め、何を手に入れようとしてきたかを。

 人であることを捨てることなど、俺にとっては何の障害にもならない。

 ──それどころか、むしろ甘美な誘いだ。

 家族を失うことなく、すべてを手に入れたまま、貴様と共にある道が開かれるのなら。

 それを拒む理由など、俺にはない。

 俺はただ、貴様が何を思い詰め、何を恐れているのかを知りたかった。

 その答えがこれならば──

「……愚か者が」

 わずかに身じろぎ、背中越しに呟いた。

 ビアンカは気づいただろうか?

 目を覚ましたことを、声が届いたことを。

 それでも、俺は目を開けない。

 今はまだ、言葉を尽くす気にはなれなかった。

 ただ、そっと手を伸ばす。

 背後の彼女の手を探り当て、指を絡めた。

 離しはしない。

 どこにも行かせるつもりはない。

 貴様がどこへ堕ちようとも、俺は共にある。

 それが、俺の選んだ道だ。
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