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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第15章 魔女と半魔の契約


 静かな空気が流れていた。

 ビアンカは、繋いだ手を見つめながらふっと笑う。

 「……あのさ」

 バージルが目線だけで応じるのを確認すると、彼女はゆっくりと言葉を続けた。

 「アンタ、結構アタシのこと、好きになってない?」

 バージルの表情がわずかに動いた。

 「……喧しい」

 即答だった。

 けれど、その反応が余計にビアンカを楽しませた。

 「結構当たってると思うんだけどなぁ」

 「……」

 バージルは無言を貫く。

 だが、視線を逸らさないのが彼なりの誤魔化し方なのだと、ビアンカはもう知っていた。

 「アタシは好きだよ」

 彼女の声音は、静かで、けれど確信に満ちていた。

 バージルの眉がわずかに動く。

 「お前――」

 「最初から、ずっと好きだった」

 そう言い切ったビアンカの瞳は、まっすぐにバージルを捉えていた。

 彼が手を握る力が、一瞬だけ強くなる。

 ビアンカは、そんな些細な変化すら見逃さなかった。

 そして、どこか満足そうに微笑んでいた。

 「ずっと伝えたかったこと、伝えられたし。心残りは、あとヴィオラの成長だけだね」

 バージルは彼女の言葉の端々に妙な含みを感じ、わずかに目を細める。

 「……?」

 ビアンカは繋いだ手をそっと撫でるように動かしながら、まるで何気ない世間話のように言った。

 「ねぇバージル」

 「なんだ」

 「魔女の契約に従って、アタシの死後の魂はアンタにあげる」

 その瞬間、バージルの表情からわずかに冷たさが消えた。

 「……」

 契約とはそういうものだと、頭では理解している。だが、彼女が何を言おうとしているのか、本能的に悟ってしまう。

 「だからさ、その時はアタシと一緒に地獄に落ちてね」

 彼女の笑みは、どこか寂しげで、それでも穏やかだった。

 バージルは一瞬だけ沈黙し、それから、ごく僅かに口角を上げる。

 「考えておく」

 その言葉に、ビアンカはくすりと笑った。
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