第14章 新しい家族
最近、妙にダンテが顔を出す頻度が増えた。
バージルはその事実に気づくと、露骨に警戒心を剥き出しにするようになった。
そしてある日、とうとう言ってしまった。
「貴様の女好きは知っているが、姪にまで手を出す気でははないだろうな」
その場にいた全員が、何か聞いてはいけないものを聞いたかのように沈黙した。
「……は?」
最初に声を発したのはネロだった。
「いや、ちょっと待て、親父。さすがにそれは……」
ドン引きした様子のネロをよそに、ダンテは心底呆れたようにため息をついた。
「さすがにねぇよ!! どんな目で見てんだ、俺を!」
「お前のこれまでの振る舞いを考えれば、疑うのは当然のことだ」
「ちげぇよ! 俺はただ、甥っ子と姪っ子がかわいくて遊びに来てんの!」
「ふぅん?」
ビアンカがニヤニヤしながらダンテを見やる。
「なんだよ、その顔!」
「なんだかんだで、アンタもアタシたち家族を気にかけてくれてるってことだろ?」
「ちっ……ま、そういうことだよ」
ダンテはバツが悪そうに顔を背けるが、その横顔にはどこか優しさが滲んでいた。
「……まぁ、いい」
バージルは納得したのか、それ以上追及はしなかった。
しかし彼の表情には、「それでも油断はしない」という警戒の色がしっかりと残っていた。