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【DMCバージル夢】貴方と生きる【第二章開始】

第13章 娘


 妊娠後期に入ると、ビアンカの動きは目に見えて鈍くなった。

 お腹が大きくなりすぎて、座るのも、立つのも一苦労。

 歩けばバランスが取りづらく、すぐにため息をつく。

 「……うぅ……」

 夜、バージルはそんな彼女の寝苦しげな様子を観察していた。

 横向きになったり、仰向けになったり、何度も寝返りを打つ。

 時折、小さく呻きながら眉を寄せる。

 バージルは無言で毛布を整え、枕の位置を直し、時には彼女の背中を軽く支える。

 「……バージル」

 「何だ」

 「……ちょっと助けて……腰が痛くて動けない……」

 仕方なく、彼は彼女の肩を支え、ゆっくりと体勢を整えてやる。

 「楽になったか?」

 「うん……ありがと……」

 そう言いながらも、しばらくするとまた寝返りを打とうとして苦しげに呻く。

 バージルは一つため息をつき、今度は何も言わずに彼女の体を支え、楽な姿勢へと導いた。

 「……不便だな」

 「そりゃそうさ……人一人分、お腹に入ってるんだもん……」

 それでも、バージルは文句も言わずに彼女の体勢を直し続けた。

 どこを支えれば楽なのか、どうすれば苦しくないのか。

 彼の手つきはぎこちないが、次第に的確になっていく。

 ──そして。

 「……あっ」

 突然、ビアンカの体が強張った。

 「どうした」

 「違う、これ……陣痛だ!」

 一瞬、部屋の空気が張り詰める。

 そして次の瞬間、ビアンカは飛び起きようとした。

 「無茶をするな」

 バージルはすかさず彼女を支え、冷静に体勢を整えた。

 だが、ビアンカの呼吸はすでに浅く、額にはじんわりと汗が滲んでいる。

 バージルは彼女の手を握り、しっかりと視線を合わせる。

 「……準備はできているのだろう?」

 「……当たり前さ。二回目だからね」

 彼女は不敵に笑った。

 「電話しなきゃ……置いてるとこまで連れてってくれる?」

 バージルは迷わず彼女の腕を支えながら、今まさに始まろうとしている新しい命の誕生に向けて動き出した。
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